親からは奨学金で大学に行ってくれって言われたんだけど・・・
奨学金って借金でしょ。どのくらい借りればいいかわからないよ。
とりあえず借りられるだけ借りちゃっていいのかな。
学生君。奨学金1000万を借りたことのあるあたいからアドバイス。
奨学金は「必要な分だけ」借りなさい。絶対に後で後悔するから。
そうなの?でも必要な分って言われても想像がつかないよ。
むーさんみたいに1000万円かかることだってあるんでしょ。
結論、「可能性はある、けれど低い。」
1000万円借りているのは極少数派だよ。少なくて済むことも多いんだ。
皆さんは世の中の学生がどれくらいの額の奨学金を借りているのか知っていますか?
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の場合、2022年の借入総額の中央値は278.6万円、平均値は310.0万円です。
では、自分が中央値や平均値よりも「多く借りなければいけないのか」、それとも「少なくていいのか」を決める要因はどのようなものがあるのでしょうか。
知ることで、自分に必要な奨学金の額を判断する一つの材料になりますので、しっかりポイントをおさえておきましょう。
奨学金の借入総額ごとの割合
まずは借入総額の平均値、中央値のデータを見てみましょう。
労働者福祉中央協議会 が日本学生支援機構の奨学金を利用した人を対象に実施した借入総額についてのアンケート結果を紹介します。
図|奨学金の借入総額
また、いずれの年度においても似たような傾向であることがわかります。
1000万借りてるあたいは少数派だね。
借入額に影響する要因
1000万も奨学金を借りている人の割合が少ないのはわかったよ。
どんな場合に1000万円も借りることになっちゃうの?
奨学金の借入額に影響する要因は下記のようなものがあります。
特に前者3つが借入額を大幅に増加させる要因になります。
どういうことか詳しく解説していきます。
公立か私立か
年間の学費は学校によって大きく異なります。一般的には私立の方が学費が高く、公立の方が学費が低い傾向にあります。学校選びによって、年間の学費が数十万円〜百万円変わってきます。卒業までの学費を通算すると何百万円もの大きな差が生まれます。
わかりやすく、東京大学と慶應義塾大学の学費で比較してみましょう。
東京大学 学部生 公立 | 慶應義塾大学 文学部 私立 | |
入学料 | 282,000円 | 200,000円 |
授業料 | 535,800円 | 900,000円 |
在籍基本料 | – | 60,000円 |
施設設備費 | – | 210,000円 |
その他費用 | – | 3,350~7,250円 |
合計(初年度) | 817,800円 | 1,373,350円 |
合計(4年間) | 2,425,200円 | 4,905,100円 |
(2023年11月)
初年度で見ても約50万円、通算では約250万円も東京大学の方が学費が安いね。
上記は一例ですが、傾向としては公立の方が断然学費が安い傾向にあります。
奨学金を借りて進学する場合は、私立に通いたい等の特別な理由がなければ、公立を選択するのが基本戦略として賢い選択となります。
学部・学科による違い
学部・学科も学費を高くする要因の一つです。
一般的には実験や実習等でお金がかかる理系の学部は文系の学校と比較して学費が高い傾向にあります。
さらに、医学部・歯学部・薬学部・獣医学部は他の学部と異なり、多くの学生は学部生であっても6年間大学に通うことになります。通学年数が増えることで単純に学費が2年分増えるだけでなく、通学費、家賃や生活費も追加でかかることになります。
再び、慶應義塾大学の例を見てみましょう。
慶應義塾大学 文学部 | 慶應義塾大学 理工学部 | 慶應義塾大学 医学部 | |
入学料 | 200,000円 | 200,000円 | 200,000円 |
授業料 | 900,000円 | 1,310,000円 | 3,040,000円 |
在籍基本料 | 60,000円 | 60,000円 | 60,000円 |
施設設備費 | 210,000円 | 230,000円 | 370,000円 |
実験実習費 | – | 100,000円 | 200,000円 |
その他費用 | 3,350~7,250円 | 3,350円 | 3,350円 |
合計(初年度) | 1,373,350円 | 1,903,350円 | 3,873,350円 |
合計(4年間) | 4,905,100円 | 7,013,100円 | 14,893,100円 |
合計(6年間) | – | – | 22,239,600円 |
(2023年11月)
一気に学費が上がったね。医学生ってこんなにお金がかかるんだ・・・
ただし、医・歯・薬・獣など、専門性が高い学科は学費が高額ですが、それに見合う大きなリターンが得られる傾向があります。
ただし、職業によっては給与が低い場合もあるため、どんな職業に就くかをしっかりと考えることが大切です。
大学院に進むか
大学院に進むかどうかも学費に大きく関わってきます。一般的には修士課程2年間、博士課程2年間であり、学部卒のみの場合と比較して、追加で学費が発生します。
東京大学と慶應義塾大学の例を見てみましょう。
| 東京大学 修士課程・ 専門職学位課程 | 東京大学 博士課程・獣医学、医学又は薬学を履修する博士課程 | 慶應義塾大学 文学研究科 修士課程 |
入学料 | 282,000円 | 282,000円 | – |
授業料 | 535,800円 | 520,800円 | 980,000円 |
在籍基本料 | – | – | 60,000円 |
その他費用 | – | – | 6,700~8,200円 |
合計(初年度) | 817,800円 | 802,800円 | 1,048,200円 |
合計 (学部:4年間) (修士・博士:2年間) | 1,353,600円 | 1,323,600円 | 2,096,300円 |
なお、大学院の費用も公立大学よりも私立大学の方が高い傾向にあります。
払ったお金に見合う見返りが得られるかは自分の努力次第の世界です。大学院に進み、努力を続け、成果を残していくという気概がある方はコストをかけてチャレンジしてみても良いかもしれません。
借入額に影響するその他の要因
実家から通うか、賃貸で一人暮らしかによっても通学にかかる費用は変わります。
実家を出て一人暮らしをする場合には家賃、水道光熱費等の費用が別途かかることになります。もちろん、実家から通う場合も電車の定期券代等がかかりますが、高額になることは少ないです。そのため、賃貸で一人暮らしをする方が割高になるケースが多いです。
また、そもそもで親が学費を払ってくれる場合は奨学金を借りる必要はありません。
しかし、ここは各家庭の方針もあるため、学生本人にはどうすることもできません。
家族がいくら学費を出してくれるのか、よく話し合うことが大切です。
奨学金1000万円の事例
あたいの実体験だよ!
上記条件の大学に通いたいため、奨学金を借ります。
その他、遊興費はアルバイトで稼いでいました。また、学業成績優秀者に大学から支給される給付型奨学金、年間10万円を大学から受けとっていました。
上記の例から分かるように、「私立」「理系」「6年制大学」等の複数のコンボを決めた場合には借入額が1000万円を超えることがあります。
結論
奨学金1000万円を借りるというのは比較的めずらしいケースです。
一般的な借入総額としては100万円〜500万円が多数です。
しかし、状況によっては借入額が大きくなることがあります。
借入額が大きくなってしまう要因は下記のとおりです。
また、奨学金は借金ですので過剰な額を借りてしまうと、返済に苦しむことになります。
あたいは奨学金を推奨したいわけではないんだ。
みんなには借金をしているという認識を持ったうえで、いくら借りればよいのか慎重に考えてほしいな。
自分の進路を決める上で、どのくらいのお金がかかるのか概算することが、奨学金の借入額を決定する上で大切です。奨学金を借りる前に、学費、生活費等の必要経費をシミュレーションしてみてくださいね。
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